2025/12/10
11月30日(日) 所属しているスタディーグループFLATが主催する
「シンプルVPT~これがVital Pulp Therapyの完成形~」を受講してきました。
VPT (Vital Pulp Therapy) とは歯髄温存療法のことです。
むし歯が神経まで達すると神経が炎症を起こし、菌に感染した部分は壊死しします。
壊死からは回復しないで歯根の先まで進んでしまいます。
そのため一部でも神経が感染すると全ての神経を取る治療(根管治療)を行います。
しかし、①神経を取ると歯の寿命が著しく短くなります。
また、②根管治療は難しい治療です。
①の原因の1位が歯が破折して抜歯になることです。
こんなデータがあります。
・治療が終了しメンテナンス中の抜歯の理由の
5%歯周病の進行、7%むし歯、歯の破折62%
・神経を取った歯の喪失リスクは神経のある歯の前歯で1.8倍、臼歯で7.4倍
②神経は複雑な構造を持ち、日本の保険医療の根管治療の成功率は
抜髄(最初に神経を取る治療)65%、感染根管治療(再治療)40%
ちなみに治療法の異なるアメリカ式根管医療の成功率は
抜髄90%、感染根管治療80%で、当院でも提供しています。

そのため、神経をできれば残したい。
VPT により壊死した部分の神経を取り、生きている神経を残せるようになりました。
マイクロスコープ(顕微鏡)で拡大して神経をみながら壊死部分を判断して除去、
MTAセメントで封鎖することにより生きている神経を保護します。
MTAセメントは根管治療の根管充填(封鎖)にも用いられる材料で、
硬化して膨張し封鎖効果を高めるとともに強アルカリのため高い抗菌作用があります。

当院ではデンタルアーツアカデミー「米国式根管治療Ⅰ」「米国式根管治療Ⅱ」
「難症例攻略」実習セミナーを受講しすでにVPTを行ってきました。
当院5年間の成功率は約90%です。論文では70~80%です。
今回のセミナーで新たな知見、技術を習得し、更に高い成功率のVPTを提供していきます。
